きっと、よくなる! | 今月の10冊

きっと、よくなる!

▼この本に関する情報▼
きっと、よくなる!/本田 健 著(サンマーク出版)

先日、オンライン書店のバイヤーの方との商談中に、「なぜ自己啓発書が売れるんでしょうね?」という話題になりました。そのバイヤーの方は「なんで自己啓発書を読むのでしょうね?」とおっしゃるのです。その方が女性だったこともあり、私もついつい「そうですよね。自己啓発書なんて読んで役にたつのでしょかね?」という相槌を打ったものの、実は結構自己啓発書にはまっていたことがあります。
ということで、今回は大ジャンルで分類すると「自己啓発書」に分類されるであろう本田 健氏の『きっと、よくなる!』。約97項目にわたって、だいたい2ページずつにまとめられているので、30分もあれば読める感じだ。本田 健氏といえば、大ベストセラー『ユダヤ人大富豪の教え』を書いた「お金の専門家」。最初は比較的よくある自己啓発書の雰囲気で始まるが、随所に「お金持ち」、「億万長者」の考え方・習慣などがちりばめられており、なんか違うぞという雰囲気がしてくる。
この本には2つの大きな柱があるところがおもしろい。いいことばかりではない人生をいかに前向きに、豊かに生きていくかという非常にスピリチュアルなアドバイスがまず一つ。「尊敬できるメンターをもつ」やネイティブアメリカンの儀式である「ビジョンクエストに出る」(自然の中をひとり何日もさまよい、人生の方向性やビジョンを受け取るというもの)といった項目はまさにスピリチュアルだ。
2つ目の柱は「いかにお金とうまく付き合っていくか」というある意味非常に現実的なマネーカウンセリング。「お金の過食症、拒食症に気づく」という項目では、お金で不幸にならずに、経済的に平安な人生を実現するためのアドバイスがあり、「億万長者口座を今日つくろう」という項目では、普通の人が億万長者になるために億万長者のお金との付き合い方を伝授してくれる。 どの項目でも決して「豊かな人生」と「お金持ち」とは直結されていないが、交互に展開されるこの2つは切ってもきれないくらい重要なのだろう。やはり人生、お金はあるに越したことはないという現実から目をそむけるなということか。
さて今回の自己啓発書は役にたったのだろうか。それは読む人の気持ち一つでどうとでもなる。少なくとも人に相談する元気もなく、壁にぶちあたり、悩んでいる人にとっては、必ず効果があることは間違いないと思う。それにしてもバイヤーの女性も私の妻も自己啓発書なんて、読まないという。自分の生き方に自信を持っている女性にとっては無用の長物としか映らないのだろう。ということで、この書籍はお金持ちになりたい悩めるビジネスマンにおすすめのようだ。 (なみへい)