対岸の彼女 | 今月の10冊

対岸の彼女

▼この本に関する情報▼
対岸の彼女/角田光代 著(文藝春秋)

 風邪をひき「さあ寝込むぞ」と最後の体力を振り絞り本屋に出向き、平積みの本をテキトーに買い込んだうちの1冊。睡眠の手助けになれば、と読み始めたのだが、ありゃりゃ、いいんじゃなーい、でした。

 内容は、ザ・女子の世界の話。友達って?人づきあいって?なんのために私たちは歳を重ねるの?子持ち主婦小夜子と、女社長葵の現在のお話と、葵とその親友ナナコの高校時代のお話、これが交互に繰り返されて・・・・・でもウォーミング、ちょいホロリ。
 そうそう、女子って、うーん分かるぅ、でした。グループで浮かないようにって、あの常に周りをチラチラしてる感じ、怖かったわぁ。突然無視されるのよね。順番に。ね、ね。嫌いって引出しに入れられたら最後、とことんなのよね。そのかわり、好き、もとことんなのよね。葵とナナコの高校時代の付き合い方、わかるわぁ。あの、全面的信頼? というか、近すぎる距離の取り方。100%シンクロしなきゃいかんって感じ? 私はコレを読んで、なんだか、懐かしくって、そして、この女子的感覚、いいなぁと思いました。忘れてたわぁ。私も昔はもっと心のひだが細かくて、そう、今の私は心が不感症になってたわ。男っぽいだの、サバサバだの、そんな神話に踊らされてたわ。女に生まれたんですもの。ちょっとウェッティーな、ややこしい感覚、楽しもうって思いました。あ、でも、仕事場にもってくと・・・やっぱマイナスかぁ。(光浦靖子)