手帳200%活用ブック | 今月の10冊

手帳200%活用ブック

▼この本に関する情報▼
手帳200%活用ブック/日本能率協会マネジメントセンター

世の中ちょっとした「手帳ブーム」だ。なにもドラマ『黒革の手帖』がリメイクされてヒットしていることだけを言っているのではなく、「ほぼ日刊イトイ新聞」の「ほぼ日手帳」が追加販売されるほどの人気であったり、書店で販売されている「手帳」の種類や流通量も増加傾向にあるという。

本書は、「ほぼ日手帳」が好評の糸井重里や、『一冊の手帳で夢は必ずかなう』のGMOの熊谷正寿社長、『三色ボールペン情報活用術』や『声に出して読みたい日本語』の齊藤孝など、「手帳界」(?)の重鎮たちが勢ぞろいし、独自の手帳活用方法を紹介している実用書だ。

見どころは、公開されている「手帳の達人」たちが実際に使っている手帳の数々。「1つ終わるごとに敵をやっつけるかのごとく赤で消していく」というワタミフードサービス社長の渡邊美樹氏の手帳は、戦場を思わるように全面真っ赤。GMO熊谷氏が21歳の時に書いたという「夢がかなう」手帳には「マイホーム、こうじゃなきゃいやリスト」なんていうものまである。で、齊藤孝はやっぱり3色。

後半には、目的別の手帳の選び方や、使い分けの方法が、具体例を挙げながら解説してあるので、「手帳を買ったものの、十分活用できていない」という読者には参考になるはずだ。来年の手帳を買うまえに、自分の生活パターンを顧みながら、どのタイプの手帳がマッチするのか、一度チェックしてみたら良いだろう。

「デジタルはアナログを完全に駆逐する」なんて幻想は、いまは誰も信じてはいないだろうけど、改めて「手帳」というアナログな情報整理ツールが、「残り続けている理由」について考えてみたくなる本だ。ページを繰り、文字を書き、消し、時には破り、貼る。PDAやグループウェアには残らない「痕跡」や、「味」といったものが、「手帳」にその人を現すのだ。まるで本棚のように。(わだのり)